2022/01/24 02:09

12月

  遅い雪が降り始め、あっと言う間に12月を迎えました。
皆さま今年も一年間ありがとうございました。

 いつも日々に追われて過ごしていますが、
12月になると何となく一年を振り返ってしまいます。

今年は2頭の愛牛とのつらい別れがありましたが、
後継牛の「なつ」と「すもも」がすくすくと育ち世代交代の中、
笑いあり、涙ありの毎日でした。

そして、暑い日も寒い日も
頑張って乳を出してくれる母牛たちに感謝です。

何より「美味しい!」と言ってくださる皆さまの言葉が
私たちにとって励みになっています。

本当にありがとうございます。
来年もどうぞ宜しくお願い致します。
楽しいクリスマス、そして新しい年をお迎えください。

年末・年始「MILK BAR」、お休みのお知らせ
12月30日(月)~1月3日(金)
までお休みさせて頂きます。

1月4日(土)~平常通りの営業となります。


11月

 10月の終わり、霧が深く立ちこめる朝、
7才の「ばなな」が出舎しました。
「ばなな」は子牛の時に乳房の近くに腫瘍が出来、
乳房を半分切除する手術を受けました。
ですから、乳牛としては値がありません。
当然獣医さんは屠畜場へ出すから手術はしないと思ったのですが、
私たちにとっては久しぶりに生まれた後継牛だったのです。
だから屠畜場へは出せません。
家族全員即決「手術だ!」となりました。

そんな「ばなな」は優しい子に育ちました。
いつも私たちを見ては優しい眼差しをくれましたし、
すり寄って甘えてきました。
母牛になってからは、二つの乳房で一所懸命乳を出してくれました。
しかし最近足腰が弱くなり、次の出産は無理だと判断したのです。

 いよいよ出舎の日がやって来ました。
トラックに乗る時、荷台へのスロープを登ろうとしません。
農協の職員と運転手さんが困っていたので、
お父さんが「ばなな」の前へ行き「ばなな、おいで」と言ったら、
ゆっくりですが自分からトラックに乗ったのです。
そしてお父さんは大好物のおやつをあげて撫でていました。
「ばなな」は緊張していて、その目が忘れられません。

牛と暮らしていて一番辛いのは、別れの時です。
   だからせめて私たちと一緒にいる間は、
牛たちに幸せでいて欲しいと強く願うのです。

 


10月

 秋が深まり少しずつ紅葉が見られる季節となりました。
こうして涼しくなると、夏の暑さが懐かしくなります。

 さてさて、そんな季節外れの暑さの中
「こごみ」がお産をしました。
予定日の朝、「たいてい一週間遅れるんだけど
何だか「こごみ」の様子がおかしい」とお父さんが
搾乳から帰ってきました。

しばらくして家から放牧地を見たら、「こごみ」の足下に小さな黒いものが!
「あっ、生まれてる!」ビックリして駆けつけると、
元気な雌の子牛でした。
無事に産まれて良かったと安心したのですが、
お父さんは「「こごみ」のお腹がまだ大きいんだよね。」
と気にかけていました。

 なんとその日の午後「こごみ」の様子を見に行くと、
もう一頭子牛が生まれるところで、顔が出ていたのでした。

ビックリするやら焦るやらで、
お父さんを呼びに行こうとアタフタしているうちに
無事雄の子牛が生まれたのです。

二頭とも小さいですが、元気にしています。
思いがけず二つの幸せをくれた「こごみ」は本当にご苦労様でした。
産後痩せて目が引っ込んでしまった「こごみ」ですが、
少しずつ元気になってきています。



9月

 お盆が過ぎて朝夕過ごしやすくなり、
少しずつ秋の気配が漂う頃になりました。

先日の「農夢の
Thanksgiving Day」には、
悪天候の中沢山の方にご来場頂きありがとうございました。
今年も皆さまに会い、お話しが出来て嬉しく思っています。

 搾乳見学会では、牛たちのポスターを作ってきて下さった方がいて、
より牛たちを身近に感じて頂けたのではないかと思います。
思いがけないご協力、本当にありがとうございました。

 さてさて、今年も農家の方から規格外の南瓜がどっさり届きました。
「南瓜を切ったら誰が一番に気づくかな?」と
早速お父さんが「トントン」とナタで南瓜を切りはじめると、
「ゆめ」がのぞきにやって来ました。
一切れもらうと「ゆめ」は、思い出したように
「カリカリ」と満足そうに食べていました。
それから「ばなな」、「まめ」とおねだりに来ました。

次に1才になったばかりの育成牛の「なつ」がやって来て、
「それなぁに?」と見ていたので一切れあげると不思議そうに食べていました。

牛舎に南瓜の山が出来るともう秋です。
今年も農家の方に感謝しながら、たくさん食べて冬に備えようね!



8月

今年の夏はなんだか蒸し暑い日が多いですね。
牛舎の扇風機は夜通し付けておく日が増えてきました。
北海道の夏に戻って欲しいと願うばかりです。
~日頃の感謝を込めて~
農夢の
Thanksgiving Day !

8月10日(土)、11日(日)

ここでしか食べられない「農夢の牛乳ソフトクリーム」
(1本300円税込)を2日間のみ販売致します。
他にアイス・チーズ・お菓子など用意致します。
ご来場心からお待ちしております。
午前9:00~午後4:30


搾乳作業の見学
8月10日(土)午後4時に集合

この機会に牛たちの様子を見にいらしてください。
普段感染症予防のため牛舎は立ち入り禁止です。
手洗い、靴の消毒をお願いします。


7月

 もうすっかり景色は真夏のようです。
毎日暑かったり春のように涼しかったりで、
人間も動物、植物たちも
その日の天気についていくのに必死ですよね。

そんな中でも牛たちは、
青草を求めて放牧地で一生懸命です。

 そして生後10ヶ月になった「なつ」と
8ヶ月の「すもも」も大きな母さん牛たちと一緒に
青草を食べています。

身体はだいぶ大きくなりましたが、放牧が始まった頃は、
母牛たちに押しのけられたり、意地悪されたりと
なかなか思うように動けずにいました。
しかし今では、スルスルと
母牛たちの間をくぐり抜けるようになり、
堂々と母牛用の寝床で寝ています。

「すもも」はそれでもまだ甘えん坊で、
母牛の「ばなな」にじゃれたり、舐めてもらったりしています。

2頭ともすくすくと育って、
良いお母さん牛になって欲しいと思います。



「すもも」 と 「ばなな」



6月

 新緑がまぶしい季節になりました。
短い春はゆっくりやって来て、駆け足で夏へとなりました。

 そんなあわただしい季節の中、悲しいお知らせです。
4月の終わりに9回目の出産予定だった
13才の「Qちゃん」が起立不能となり亡くなりました。

出産予定日の3日前に急に立ち上がることができなくなり、
獣医さんに点滴を打ってもらったり、
ロープで腰をつって立たせたりしたのですが、
四肢に力が入らず立てませんでした。

出産予定日に寝たきりのまま陣痛そして破水があり、
子牛を何とか引っ張り無事産まれました。

子牛の方に這うように動く「Qちゃん」ですが、
やはり立つことが出来ませんでした。

産後2日目にとうとう横たわってしまい
苦しそうにしている「Qちゃん」。
獣医さんと相談し、お父さんと二人で
「Qちゃん」を楽にしてあげようと決断しました。
獣医さんのはからいで、鎮痛剤を処方してくださり、
苦しむことなく眠るようにお父さんと私の腕の中で
天国へ旅立っていきました。
「今まで本当にありがとう、
ご苦労様」と何度も抱きしめてあげました。

生き物と生活している以上いつかはやって来る別れですが、
いつまでも生きて欲しいという気持ちと、
牛たちの命を預かる責任を痛切に感じました。



5月

すっかり春らしくなり、いつになったら溶けるのだろうと
思っていた雪山もずいぶんと低くなりました。
放牧地も春の陽を浴びて、少しずつ草が青くなっています。

 さてさて牛舎ではベビーラッシュが続いていて、
「ゆめ」が無事に5度目のお産をしました。

出産の前日まで「今夜は生みそうにないね」と言って休みました。
ところがよく朝3時、お父さんに「生まれてるぞ!!」
と呼ばれて急いで行くと、もう子牛は立っていました。

母牛の「ゆめ」よりも、老牛の「はる」が一生懸命舐めてあげていたようで、
身体もきれいになっていました。

出産直後羊水を飲んだり、羊膜で顔が覆われて
息が出来ないことが一番心配なので、本当に良かったです。

頼りにならない父さん、母さんの元で
牛たちはたくましく生きています。


4月

 春の日差しが強くなってくると、ウキウキしてきます。
ネコヤナギの毛やスノードロップの
可憐な花を見ると、嬉しくなります。

そんな天気の良い日のことです。
「さぁてコーヒーを飲んで一休み!」と座ろうとした時、
窓の外を大きなものがスタスタと歩いて行ったのです。

「えー?まさか」と思い外を見ると、
なんと我が家の牛「あき」が歩いて行ったのです。
ビックリしてお父さんを呼んで外に出ると、
「あき」が牛舎裏の電気柵を飛び越えて脱走した跡がありました。

姿が見えない「あき」を探すと、
牛舎の下の放牧地から私たちを見つけて走ってきました。
そしてまた住宅の方へ行こうとするので、
私が通せんぼうをしてお父さんが
牛舎の入り口のゲートを開けに行きました。

他の牛たちも集まってきたので、
お父さんが「ここを開けるからお前達は出たらだめだよ」と言うと、
その声を聞いた「あき」はくるりと後ろを向いて
お父さんの方へ走って行きました。

そしてすんなりと牛舎に入って行ったのでした。
きっと「あき」は晴天に誘われて柵を跳び越えてしまったものの、
心細くて仕方なかったのでしょうね。


3月

 大雪と寒さが続いていた旭川にも
ようやく春の兆しが見えてきました。
気温が-10℃くらいなら暖かく感じるほどです。

そんな中、2月のはじめに「まめ」が
初めてのお産をしました。
陣痛が来てから、お父さんがずーと付き添って声をかけていました。
しかし第二破水があり、
子牛の足が見えるといつもならすぐに鼻先が見えてくるのですが、
強い陣痛が来ても変わらないので、
お父さんと私で子牛の足を引っ張ることにしました。

「まめ」の陣痛に合わせて何回も引っ張り、
思ったよりも楽に生まれましたが、なんと逆子でした。

そして呼吸が出来ない子牛に、
お父さんは鼻を刺激して何とか呼吸をさせました。

「まめ」は失神状態でした。
しばらくして、子牛を「まめの顔の所に近づけてあげると、
ようやく気が付き、一生懸命子牛を舐めはじめました。

「まめ!頑張ったね。お母さんになったね!」と
やっとホッとしたのでした。

まだ身体の小さな「まめ」は毎日ミルクを出してくれています。
そして子牛も元気に過ごしています。

親牛7頭と子牛3頭、合計10頭の大所帯となり、
ますます賑やかになりました。


「まめ」と生まれたばかりの子牛


 2月

新しい年が明け、七草、鏡開きと過ごしている内に、
あっという間に2月を迎えました。
大雪としばれが続き、どこもここもすっぽりと雪の山です。

 そんな中、牛たち9頭の大所帯は
牛舎の中に集まると、右往左往と賑やかです。

その母牛たちの姿につられてか、
先日子牛の「すもも」が、囲ってある柵を跳び越えて脱走し、
母牛の所へ行ってしまいました。

母牛たちは、急な小さな侵入者にビックリするもの、
困った顔をするもの、いじめるものと大騒ぎでした。

私は、「すもも」が取りあえず外に出てしまわないように
扉を閉めてから、急いでお父さんを呼びに行きました。

アタフタと戻ると、なんと「すもも」はまた柵を越えて
自分の所に戻り、すましていたのでした。

あの大騒ぎは何だったのでしょう?
あれ以来「すもも」は囲いから一度も飛び越えていません。
よほどビックリしたのでしょうね!

怪我などしなくて良かったのですが、
今年もこうしてドタバタと牛たちと過ごしている私たちです。

 

1月

あけましておめでとうございます

 年末の大雪でどうなることやらと思っていましたが、
2019年は穏やかに明けました。

 「はる」「Qちゃん」「ばなな」「こごみ」「ゆめ」「あき」
そして育成牛の「まめ」「なつ」「すもも」、
あわせて9頭の牛たちと共に新しい年を迎えることが出来ました。

2月には「まめ」と「はる」がお産をします。
「まめ」は初めてのお産なので、
本人はもちろん私たちもドキドキしています。

今年も新年早々、あわただしく過ぎていきそうですが、
牛たちと共に力を合わせて頑張りますので、
どうぞ宜しくお願い致します。


「すもも」生後10日